僕の鼻は雨の匂いを嗅ぎつける。
2001年5月7日やっぱりこれは日記に書いておくべきだろう。
今日、Yさんと再び学食であった。(4月16日のコノ日記に出てきたYさん)
しかも人気の少ない夕方過ぎに。向こうも一人でうどん(夕食にしては早すぎるし、昼食というわけでもない。小腹が空いてたのかな。)を食べているようだったから向かいの席に座った。無難に「今日風があるけど暖かいねぇ」とか、他愛もない言葉を交わした。そのあと、この前話したサックスの話なんかをした。正直サックスなんて興味なかったけど、これぐらいしか気の利いた話題が思いつかなかった。
「アルト?」
「テナーだよ」
「マジで? テナーなんだぁ」
「JAZZとか聞いたことある?」
「WeatherReportくらいしか知らないよ・・・」
「へぇ、結構聞いてるの?」
「いやぁ、全然知らない。SEIGEN ONOって知ってる?」
「知らなぁ〜い」
「ふ〜ん、Jazzっつうよりはアヴァンギャルドだからなぁ」
・・・・・・、こんな会話をとりとめもなく続けた。
まだこの後にゼミがあったから、仕方なく自分から先に席を立った。
ちょっと寂しそうなYさんの笑顔が、もう少しでゼミのことを忘れさせるところだった。
Yさんと俺はタメだ。でも不思議と彼女と会っても就職とか進路の話とかはしない。それがどうしてなのか、今ちょっとだけ分かった気がする。
Yさんのサックスを吹く姿を思い浮かべると、ゼミの院生が話していることはどうでもいいような気がしてきた。
Yさんと会うのはごくたまに。僕の心がYさんのことだけで満たされることは許されなかった。一度Yさんから離れれば、僕の心の一番手の届きやすいところには、就職活動やゼミのことがドデンと構えた。でも、僕の手の届かないずっと深いところで、Yさんのことは深く根を張っていて、ことあるごとにそこから芽が出て、幹が育ち、葉が茂り、花が咲き、実がなり、そしてまた新たな根が張った。Yさんを目の前にすると、その成長が僕の制御を超える。その成長に気がつかないフリをするのはもう無理だった。
僕は節操も無くそんなことを脳みその片隅で処理していた。ゼミが終わり、帰り支度をするゼミ生と就職活動の話をした。明日自分にも面接があるんだ、と彼らに告げる。
明日は二つ面接がある、自分に言い聞かせてみる。
初めてのダブルヘッダー、自分に語りかけてみる。
残念だけど明日の予定では僕の胸の鼓動は早まらなかった。
きっと明日は雨だろう・・・
彼女の名前を知る人がいるかもしれない。
この日記のことは誰にも告げないで欲しい。
***
Goo Goo Dolls/Name
We grew up way too fast
And now there’s nothing to believe
Reruns all become our history
A tired song keeps playing on a tired radio
And I won’t tell no one your name
And I won’t tell em’ your name
I won’t tell em’ your name
I won’t tell em’ your name…
I think about you all the time
But I don’t need the same
It’s lonely where you are come back down,
And I won’t tell em your name
今日、Yさんと再び学食であった。(4月16日のコノ日記に出てきたYさん)
しかも人気の少ない夕方過ぎに。向こうも一人でうどん(夕食にしては早すぎるし、昼食というわけでもない。小腹が空いてたのかな。)を食べているようだったから向かいの席に座った。無難に「今日風があるけど暖かいねぇ」とか、他愛もない言葉を交わした。そのあと、この前話したサックスの話なんかをした。正直サックスなんて興味なかったけど、これぐらいしか気の利いた話題が思いつかなかった。
「アルト?」
「テナーだよ」
「マジで? テナーなんだぁ」
「JAZZとか聞いたことある?」
「WeatherReportくらいしか知らないよ・・・」
「へぇ、結構聞いてるの?」
「いやぁ、全然知らない。SEIGEN ONOって知ってる?」
「知らなぁ〜い」
「ふ〜ん、Jazzっつうよりはアヴァンギャルドだからなぁ」
・・・・・・、こんな会話をとりとめもなく続けた。
まだこの後にゼミがあったから、仕方なく自分から先に席を立った。
ちょっと寂しそうなYさんの笑顔が、もう少しでゼミのことを忘れさせるところだった。
Yさんと俺はタメだ。でも不思議と彼女と会っても就職とか進路の話とかはしない。それがどうしてなのか、今ちょっとだけ分かった気がする。
Yさんのサックスを吹く姿を思い浮かべると、ゼミの院生が話していることはどうでもいいような気がしてきた。
Yさんと会うのはごくたまに。僕の心がYさんのことだけで満たされることは許されなかった。一度Yさんから離れれば、僕の心の一番手の届きやすいところには、就職活動やゼミのことがドデンと構えた。でも、僕の手の届かないずっと深いところで、Yさんのことは深く根を張っていて、ことあるごとにそこから芽が出て、幹が育ち、葉が茂り、花が咲き、実がなり、そしてまた新たな根が張った。Yさんを目の前にすると、その成長が僕の制御を超える。その成長に気がつかないフリをするのはもう無理だった。
僕は節操も無くそんなことを脳みその片隅で処理していた。ゼミが終わり、帰り支度をするゼミ生と就職活動の話をした。明日自分にも面接があるんだ、と彼らに告げる。
明日は二つ面接がある、自分に言い聞かせてみる。
初めてのダブルヘッダー、自分に語りかけてみる。
残念だけど明日の予定では僕の胸の鼓動は早まらなかった。
きっと明日は雨だろう・・・
彼女の名前を知る人がいるかもしれない。
この日記のことは誰にも告げないで欲しい。
***
Goo Goo Dolls/Name
We grew up way too fast
And now there’s nothing to believe
Reruns all become our history
A tired song keeps playing on a tired radio
And I won’t tell no one your name
And I won’t tell em’ your name
I won’t tell em’ your name
I won’t tell em’ your name…
I think about you all the time
But I don’t need the same
It’s lonely where you are come back down,
And I won’t tell em your name
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