明日

よく言われることだが、僕たちは大きな物語を喪失したらしい。

僕たちは大きな物語を失ったそうだ。


僕たちには今物語がない。それはきっと間違いない。

物語のない世界で生きる僕たちは何を信じれば良いのだろうか。
物語のない世界で生きる僕たちは何を求めれば良いのだろうか。
物語のない世界で生きる僕たちは何を愛すれば良いのだろうか。

物語のない世界で生きる僕たちに何を叫べと言うのだろうか。


僕たちは物語を失ってから、いや、僕たちが生まれた時には物語なんてなかった。

僕たちは物語を失ったんじゃない。

僕たちには物語なんてなかったんだ。


僕たちには、僕には、物語なんてなかった。


僕たちは“フリ”も出来なくなった。

僕たちは何かを信じるフリもできないし、何かを求めるフリも、何かを愛するフリも、何かに叫ぶフリもできない。


僕は物語をもう一度作る気なんてサラサラないし、もう“フリ”なんてウンザリだ。


だけど・・・、だから・・・、

そんな僕たちの中で、僕は僕のウソ臭い真実を信じてやろう。

そんな僕たちの中で、僕は僕のアオ臭い善道を求めてやろう。

そんな僕たちの中で、僕は僕のガキ臭い美風を愛してやろう。


そんな僕たちの中で、ウソ臭くてアオ臭くてガキ臭くてアホ臭いけど、僕は僕の明日に向って叫んでやろう。


そんなことを考えながら僕は午前10時に床に就く。


***
要は徹夜ってことだね。