逍遥
2001年10月1日街にぶらりと出かける。
降りしきる雨の中、人々は交差点を相変わらずせわしなく駆け抜ける。雨の匂いが立ち込めるこの場所には誰も立ち止まろうとしない。今こうしてボクの目の前を通り過ぎる“君”と会うことはもうないだろう。
ボクらは60億人の見知らぬ存在と共にこの地球上に人間としての籍をおく。ほんのわずかの間・・・・・・。
ボクは足を止め、その事実を頭の端に浮かべてみる。その瞬間にもボクの周りにはボク以外の息吹が確かに感じられる。爪を弾きながら、道行く人々の顔を焦点の定まらない瞳で追いつづける。
ボクは傘と視線を外して、雨粒を落すのに未だ飽きない分厚い雨雲を見据えた。
ゆく河の流れは絶えずして、しかももとの水にあらず。よどみに浮かぶ泡沫は、かつ消えかつ結びて、久しくとどまりたるためしなし。
こんな台詞をうそぶきながら、ボクは再び傘を差し歩を進める。
BGM “Brothomstates Vs Bill Yard” by Brothomstates
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